2007年06月16日

ユタと不思議な仲間たち


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ユタとふしぎな仲間たち
新潮文庫


ここのところ、ビジネス書を読むことが多く、
辟易としかけていました。

少し頭が硬くなってきたようなので、
ちょっとはほぐれるものを読もうと思っていたら、
長男が読書感想のため、
学校の推薦図書一覧表を持っていたので、
これはちょうどいいと思い、
そこから選んだのが、この一冊です。

子供用にと考えてあるせいか、
話の筋に余計なブレがなく、言葉もよく選んであるので、
読むのがとても楽でした。

登場人物の個性に興味がわくので、
物語としてはとてもおもしろく思います。
演劇を見てみたいと思いますね。

内容は東京から引っ越してきたユウタ君が、
座敷童の力添えを得て、
ちょっとしたいじめにも負けず、
村の子供たちとも仲間になり、
村社会に溶け込んで、成長する話です。

ユウタ君は村の人の方言もあって「ユタ」と呼ばれます。

そして、色の白いもやしっ子と
村の子供達にからかわれるのがいやでした。

そして思案の末、
母親が勤めている旅館の離れに
座敷童が出るという噂があるので、
そこでたった一人で一晩を過ごし、しかも座敷童を見つけてやろう、
そうして、村のみんなに、自分はこれほどに勇気があると
見返してやろうと計画して実行します。

ですが、実際に座敷童に会ってしまうと、
当初のそんな小さな目的はどこへやら。

座敷の離れで一人で夜を過ごしたことの自慢よりも、
座敷童たちと遊ぶ楽しさのほうが数段に勝っていました。

そして、座敷童たちの過去が徐々に明かされていきます。

そう、天保の大飢饉に襲われた村から、
明治時代の遊郭まで、
この物語の座敷童たちの生まれた背景が見えてきます。

この物語の中で特に私の印象に残ったのは、
やはり、飢饉の話ですね。

今でこそ、お金で食べ物がどんどん輸入されていますが、
冷静に世界のニュースを見渡してみると、
いつまたこの日本を飢饉のようなものが襲っても不思議でない
時代になったような気がします。

カロリーベースで40%そこそこの食料自給率に加え、
諸外国の資源の取り合いは骨肉の争いであり、
手近なところでは、中国のガス田開発など、
今までのアメリカの軍事力を背景にした日本の繁栄は、
もはや通じないものになりつつあるようです。

20年ほど前は、テレビのニュースを見ても、
「日本人か?」と問われるシーンを見ることが多かったのに、
最近は「中国人か? それとも韓国人か?」と
聞いてくるニュース番組が殆どです。
国内の揚げ足取りに終始して疲弊している間に、
世界から置いてけぼりを喰らうのではないでしょうか。

バイオエタノールについても、
その原料に使う穀物の値上がり、
さらに、穀物を育てるための「水」の需要増加に
危惧を抱いている意見も聞きます。

そう、日本で「水」といえば、
空からいつでも降ってきて、
いつでも手に入るもののように思われています。

しかし、このような恵みのある国は少ないようです。

昔、砂漠に生きる人たちではありますが、
手にひとすくいの水で洗顔を済ますシーンを
今もはっきりと覚えています。

左右の手をうまく入れ替え、水を下にこぼさないようにして、
顔を洗い、手から肘にかけて洗います。

この頃は、四国での渇水、
オーストラリアでの旱魃による小麦の壊滅。
地球温暖化、砂漠化とか、アフリカや中東の小さな戦争の数々と、
不安を煽る要素がそこかしこにあります。

しかし、私の思うことは、
中国での環境破壊もそうですが、
無碍にやめろと声を荒げるのではなく、
そういう環境破壊の結末を経験してきているのですから、
真剣にその事実を伝え、国家の本当の利益のため、
今までの国益軍事による我利争奪ではなく、
また、中国や諸外国の言いなりになるのでもない、
新たな交流を生み出す必要があるのではないかと思っています。

それも、日本の力の残っているうちに。

その為にも私の身近で始めようと思うことは、
やはり、少しでも力が長続きするように、
農薬に頼らない農業ですね。
薬毒うんぬんより、石油価格上昇や原料の枯渇とかで、
薬を手に入れるということ自体が難しくなるかもしれないと
思うのです。

台湾を中国が押さえてしまうという、
とんでもない状況になったとき、
船の輸入航路を押さえられて、
日本がどうなるかわからんという意見も思い出しました。

ともあれ、まずは食べ物です。自給率アップです。
飢えてしまってはどんな意見も全部きれいごとの
タテマエだけになってしまいますからね。

そんな飢餓の恐さを思い出させてくれた一冊でした。

2007年06月09日

夢は荒れ地を ~船戸与一


夢は荒れ地を
船戸与一

最近はつらつらと昔読んだ本を思い出しています。

インターネットが始まった直後からしばらく遠ざかっていましたが、
それも去年から仕事中も見れるようになって、
だいぶんと氷山の一角がわかってきました。

ぼんやりと、氷山の全体や、氷山の浮かぶインターネットの海が
霧の向こうに途切れ途切れに時々見える気がしています。

さて、インターネットもなかなかできないし、
パソコンの機能も宣伝の割にはそれなりなので、
漫画を描くにも、小説を書くにも、
新しいパソコンを買ったのに、
まだお金と根気がいるようなので、
すっかりやる気をなくしていた頃、
そんな頃に読んだのがこの本です。

書店の店頭に文芸書のハードカバーで出ているのを買いました。

帯の宣伝を読んで、「いったい何がどうしたんだ?」と、
ぐわっと興味がわいて買ったのを憶えています。

そして、読んだ内容の衝撃は目が覚めるようでした。
そう、変な例えですが、
自分が大人になったことを感じました。

創作ですが、
世界の「今」をリアルに感じさせてくれた初めての小説です。

まだまだ、
世界には銃があふれていることを気づかせてくれた小説です。

正義とは何なのでしょう。
生きるとはどういうことなのでしょう。

カンボジアの、そこに生きる子供たちと
信じる人たちの「今」のために、
命をかけて、生き抜いた、男の話です。

今の日本は本当に平和で、
命がけで生きるシーンが少ないですが、
世界では生まれた瞬間から
命がけで生きる必要のあるところが
まだまだ多い。

そんな世界に飛び込んだ男の話です。

ぶ厚い本ですが、数日で読みきってしまいました。
それほど私には衝撃的でした。

世界を知りたいと思うきっかけになった小説でした。

なぜ今自分たちがこのように生きられるのかを
考えさせてくれる小説でした。

真(しん)に人間に迫る小説です。

おもしろい、
と思います。

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